虹明かり

『…彼女こそオレのマクシィなのだろうか…』



一人娘はせっせと種を蒔く。

「無駄なことだと貴様は笑うのか？
　それなら貴様は幸せなんだろうな！」
娘；キャンカルは言う。

成果…収穫…それは果実を産む。
最も遅い収穫…それは甘い果実を産む。

「一夜限りだって構わないのだ。
　それすら我は永遠にしてみせるぞ！
　また無駄なことだと笑うのか？
　カカカ！やっぱり貴様は幸せなんだな！」
キャンカルは言う。

キャンカルは毎晩毎晩夢を見る。
夏が過ぎて収穫の季節が来れば、想いが実ると夢を見る…。

「何故ヒトと言うものは恋愛をするのだろうか？
　せめて、相応しい季節にくらい出会いたかったものだ…。
　父さん、母さん、それでも我は幸せになりたいのだ！」

恋心、甘い果実、真っ赤な果実。

「カカカカカ！そうだ、もぎ穫れないのなら刈り取れば良いではないか！」

そしてキャンカルは愛しい父親；イシュカの首を刈り取った…。

父親を愛した娘とその母親。
二人の♀と一人の♂。

「一番不幸なのは誰だったのだろうな…？」



…最期に現れたのは『仮面の男』
彼らが消え去った後、荒野に一人取り残されるのは誰……？