Baroque
『…彼女こそオレのマクシィなのだろうか…』
小さな教会でぼろぼろに汚れた少女が一人、手を組んでひざまずいていた。
少女;ナータは両目をぎゅっとつぶり、ひたすらに祈っていた。
「主よ、私はひとを殺めたわ。
私は…この手で大切なひとを殺めてしまったの…!」
元々酷く臆病だったナータは、他人と接することがとても苦手だった。
他人と『違う』ということが恐ろしく、『拒絶』されることを拒んだ。
「…私も、みんなとあんなふうに楽しく話したいわ…。
けれど、分からないの。どうしたら他人に合わせて笑うことが出来るの…?」
いっそ空気になりたいと思って、いつも口を閉ざしていた。
そんなナータに初めて声を掛けたのが、彼女だった。
彼女;アジーは、美しく優しい、月のように柔らかな笑みが印象的な人であった。
急に話し掛けられたナータは、最初こそ戸惑いはしたもののすぐにアジーのことが好きになった。
やがて親友と呼べる程仲の良くなった二人だったが、ある一点においてナータとアジーは『違い過ぎて』いた。
もう自分ではどうする事も出来ない程、ナータは『彼女を愛してしまっていた』のだ。
ある日、ナータは勇気を振り絞って想いの全てをアジーに告白したが、アジーはそれを『拒絶』した。
その決定的な『違い』は到底『解かり合えない』。
解かり合える筈が無い…。
そう思った瞬間、ナータは危機迫る表情で逃げて行くアジーを追い掛けていた。
階段の手前で足が縺れてアジーに覆いかぶさるように転ぶナータ。
そのまま二人して、長い長い石畳の階段を転げ落ちる…。
「…殺めるつもりなんて無かったの…ただ、ただアジーに嫌われるのが嫌で…!
この、私の心は歪んでるの?異常なの…?
…誰も赦しが欲しくて告白している訳では無いわ。この罪こそが、私とアジーを繋ぐ絆なんだから。
この罪だけは、神にさえも赦させはしないわ…!」
『…ならば、オレが赦そう』
…激しい雷鳴の中、いつの間にか祭壇の奥に『仮面の男』が立っていた…
小さな教会でぼろぼろに汚れた少女が一人、手を組んでひざまずいていた。
少女;ナータは両目をぎゅっとつぶり、ひたすらに祈っていた。
「主よ、私はひとを殺めたわ。
私は…この手で大切なひとを殺めてしまったの…!」
元々酷く臆病だったナータは、他人と接することがとても苦手だった。
他人と『違う』ということが恐ろしく、『拒絶』されることを拒んだ。
「…私も、みんなとあんなふうに楽しく話したいわ…。
けれど、分からないの。どうしたら他人に合わせて笑うことが出来るの…?」
いっそ空気になりたいと思って、いつも口を閉ざしていた。
そんなナータに初めて声を掛けたのが、彼女だった。
彼女;アジーは、美しく優しい、月のように柔らかな笑みが印象的な人であった。
急に話し掛けられたナータは、最初こそ戸惑いはしたもののすぐにアジーのことが好きになった。
やがて親友と呼べる程仲の良くなった二人だったが、ある一点においてナータとアジーは『違い過ぎて』いた。
もう自分ではどうする事も出来ない程、ナータは『彼女を愛してしまっていた』のだ。
ある日、ナータは勇気を振り絞って想いの全てをアジーに告白したが、アジーはそれを『拒絶』した。
その決定的な『違い』は到底『解かり合えない』。
解かり合える筈が無い…。
そう思った瞬間、ナータは危機迫る表情で逃げて行くアジーを追い掛けていた。
階段の手前で足が縺れてアジーに覆いかぶさるように転ぶナータ。
そのまま二人して、長い長い石畳の階段を転げ落ちる…。
「…殺めるつもりなんて無かったの…ただ、ただアジーに嫌われるのが嫌で…!
この、私の心は歪んでるの?異常なの…?
…誰も赦しが欲しくて告白している訳では無いわ。この罪こそが、私とアジーを繋ぐ絆なんだから。
この罪だけは、神にさえも赦させはしないわ…!」
『…ならば、オレが赦そう』
…激しい雷鳴の中、いつの間にか祭壇の奥に『仮面の男』が立っていた…
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