「俺さ、アジカナと…付き合うことになったんだ」
唐突に兄さんが俺にそう言った。
とっさに言葉は出なかった。
…いつか、そんな日が来るとは分かっていた。
俺だって二人の仲を応援していたし、二人が相思相愛なのは傍目から見ていても丸わかりだった。
血縁関係にあるとはいえ、俺たちはそもそもが普通ではない。
だからこそ二人が付き合うのは、時間の問題だった。
「そっ、かあ」
絡み合った思考回路が落ち着いて、やっと出た言葉はそれだけだった。
ああ、兄さんが気まずそうな、複雑な顔をしている。
そんな顔をしないでほしい。
「よかったじゃない。おめでとう」
笑顔でそう言ってみせたのに、兄さんは相変わらず表情を変えない。
「……ネル、ごめんな」
……。
……。
「ううん、気にしないで。俺は兄さんが幸せになってくれるなら、それで幸せだから」
「ああ、ありがとな。絶対、アジカナは幸せにするからな」
「……」
ああ、なんて幸せそうな顔だろう。
俺は……。
「うん。お幸せにね」
俺の大好きな貴方さえ幸せならば、俺は、これでいい。
これで……
「おっはよー」
目が覚めた俺の目の前に居たのはユメクイだった。
唖然としている俺にユメクイは続ける。
「いかがだったー?ユメのお味はー?」
「ゆめ…」
「そうー、ユメ。だけど限りなく未来に起こり得る可能性の高いユメ。ああ、お代ならいらないよー?あんたの感情はすっごくうまかったからねー」
「……」
「ま、いわゆるユメオチというやつだねー。でも…気を付けな。これは運命のシナリオに書かれている未来の一つだ」
そう、妙に真顔で言い残してユメクイは去って行った。
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フランツさんのツイートを見て、ボロ泣きしたのでネタをお借りしました。ありがとうございます!
アルコールの勢いは怖い…(笑
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