幻に向かって
「はぁ〜…」
溜息を吐きながら帰宅したイーヴィルドを、ンジェラがにやにやと笑いながら見据える。
そんなンジェラを視界におさめたイーヴィルドは重々しく口を開く。
「…どうだった?」
「少なくトモお前よりはマシでしょうネ! …と言いたいトコですケド、こってんぱんに怒鳴られたデスヨーっだ!!」
「…だろう、な…」
そしてイーヴィルドが再び溜息を吐く。
自分の結果だけを話したンジェラはむっとした様子で、お前の結果も教えろと促すとイーヴィルドはあからさまに嫌そうな表情をする。
再三溜息を吐き緩慢な動作でンジェラの正面の椅子に腰掛けると、俺っちさんも、とぽそりと呟いた。
梅雨が明け、夏が目前に迫っている。
そんな中、二人の元にそれぞれの親より「現状を報告せよ」と連絡が入った。
最低限のミッションは(最低限に)こなせど、親から言い付けられたことを自ら守ろうなどとは全く思っていない二人である、有りのままを伝えたら殺されるかもしれない。
それでも行かない訳にもいかず、渋々と親元へ向かった二人だったが結果は想像通りであった。
殺されることだけは免れたが、こっぴどく叱られ、呆気なく叩き出され、再び人間界に舞い戻ってきたのだった。
「だいたいですネェ、『ヒトの助けになることを100回しろ』だなんてワッケわっかんないっつーんデスヨ!!」
机をだんっと両手で叩いて喚くンジェラ。
「…うらやましい…」
「ハァ!? 私にしたらこんなん苦痛にしか過ぎないんデスヨ!?」
「俺っちさんだって、ヒト、シアワセにしたい。『100人のヒトを不幸にしろ』って言われてんだぞ」
突っ伏したまま搾り出すような声で応えるイーヴィルドを、ンジェラは心底理解出来ないとでも言うように見下す。
「あいっっかわらずお前はワカランですね! ヒトが絶望するトキ、そのトキこそが! すんごい楽しいんジャナイですか!!」
「…テメェこそ、理解できない。ヒトが笑って、アリガトウって、言ってくれる…ソレがシアワセ…」
「かぁ〜〜っ!! ホントにキモチワルイですねぇお前は! それでもアクマなんですカァ!?」
「…テメェだって…どう見ても天使には見えない…改心しろ」
「うるさいですネェこの落ちこぼれガ!!」
「ヒトのこと、言える立場じゃないダロ」
ンジェラは、ふん、と鼻を鳴らすと椅子から立ち上がって玄関へと向かっていく。
「ドコ、行く?」
「決まってんデショウが! ヒトを不幸にするんデスヨ!」
扉に手をかけ、イーヴィルドの方を振り返って意地悪そうににやにやと笑った後に家を飛び出した。
呼び留めようとして口を開いたまでは良かったが、声を出す前に出て行ってしまった。
開きっぱなしの扉を暫く見詰めて、諦めたように再び溜息を吐く。
「…まったく」
ぽつりと言葉を部屋に置き残して、イーヴィルドも外へと飛び出して行った。
溜息を吐きながら帰宅したイーヴィルドを、ンジェラがにやにやと笑いながら見据える。
そんなンジェラを視界におさめたイーヴィルドは重々しく口を開く。
「…どうだった?」
「少なくトモお前よりはマシでしょうネ! …と言いたいトコですケド、こってんぱんに怒鳴られたデスヨーっだ!!」
「…だろう、な…」
そしてイーヴィルドが再び溜息を吐く。
自分の結果だけを話したンジェラはむっとした様子で、お前の結果も教えろと促すとイーヴィルドはあからさまに嫌そうな表情をする。
再三溜息を吐き緩慢な動作でンジェラの正面の椅子に腰掛けると、俺っちさんも、とぽそりと呟いた。
梅雨が明け、夏が目前に迫っている。
そんな中、二人の元にそれぞれの親より「現状を報告せよ」と連絡が入った。
最低限のミッションは(最低限に)こなせど、親から言い付けられたことを自ら守ろうなどとは全く思っていない二人である、有りのままを伝えたら殺されるかもしれない。
それでも行かない訳にもいかず、渋々と親元へ向かった二人だったが結果は想像通りであった。
殺されることだけは免れたが、こっぴどく叱られ、呆気なく叩き出され、再び人間界に舞い戻ってきたのだった。
「だいたいですネェ、『ヒトの助けになることを100回しろ』だなんてワッケわっかんないっつーんデスヨ!!」
机をだんっと両手で叩いて喚くンジェラ。
「…うらやましい…」
「ハァ!? 私にしたらこんなん苦痛にしか過ぎないんデスヨ!?」
「俺っちさんだって、ヒト、シアワセにしたい。『100人のヒトを不幸にしろ』って言われてんだぞ」
突っ伏したまま搾り出すような声で応えるイーヴィルドを、ンジェラは心底理解出来ないとでも言うように見下す。
「あいっっかわらずお前はワカランですね! ヒトが絶望するトキ、そのトキこそが! すんごい楽しいんジャナイですか!!」
「…テメェこそ、理解できない。ヒトが笑って、アリガトウって、言ってくれる…ソレがシアワセ…」
「かぁ〜〜っ!! ホントにキモチワルイですねぇお前は! それでもアクマなんですカァ!?」
「…テメェだって…どう見ても天使には見えない…改心しろ」
「うるさいですネェこの落ちこぼれガ!!」
「ヒトのこと、言える立場じゃないダロ」
ンジェラは、ふん、と鼻を鳴らすと椅子から立ち上がって玄関へと向かっていく。
「ドコ、行く?」
「決まってんデショウが! ヒトを不幸にするんデスヨ!」
扉に手をかけ、イーヴィルドの方を振り返って意地悪そうににやにやと笑った後に家を飛び出した。
呼び留めようとして口を開いたまでは良かったが、声を出す前に出て行ってしまった。
開きっぱなしの扉を暫く見詰めて、諦めたように再び溜息を吐く。
「…まったく」
ぽつりと言葉を部屋に置き残して、イーヴィルドも外へと飛び出して行った。
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