虹明かり

『そのパレードはどこからやって来たのかしら…？』

嗚呼…そのパレードは何処までも続いてゆく…。



「友よ…罪も無き囚人達よ…。
　オレ達はこの世界と言う鎖から解き放たれた…。
　来る者は拒まないが去る者は決して許さない…。
　…黄昏の葬列、楽園パレードへようこそ…」

仮面の男を先頭とするパレードは、世界の果てを目指して何処までも続いてゆく。
沈む夕陽に背を向けて、愉快そうに笛を吹く。
男の肩に座った少女が、その笛の音に合わせて歌う。

心に深い傷を負った者にとって、抗えない魔性の音…。

沈む夕陽に背を向けて、燃えるような紅い髪の女が狂ったように踊る。
気味が悪い首吊りピエロの刺青が、あの笛の音に合わせて笑う。

笛の音に誘われて一人一人と列に並んでいく。
やがてそのパレードは夕陽を遮って地平線を埋め尽くす…。

『例えば、箱舟を信じた妹…』
『例えば、歪んだ真珠の乙女…』
『例えば、収穫を誤った娘…』
『例えば、妹を犠牲にされた姉…』
『例えば、星屑に踊らされた少女…』
『誰も仮面の男アビスからは逃げられないのよ…』

「…御機嫌よう、可哀想なお嬢さん。楽園パレードへようこそ…」

やがてそのパレードは夕陽を裏切って地平線を灼き尽くす……。



嗚呼…そのパレードは何処までも続いてゆく…

『そのパレードはどこへ向かっていくのかしら…？』