マクシィの天秤
殺人、窃盗、誘拐、密売…。
悪魔に魂を売り渡したかのように、金になる事なら何でもやった。
その男;キィヤナには手段などどうでも良く、金が必要だったのだ。
そして…その夜も天秤は仮面を躍らせる…。
…夜闇の中、二人は見つめ合う。
ロマンチックな月明かりの下、そっと唇を重ねて息を潜めた…。
慌ただしく通り過ぎる追っ手達をやり過ごして二人は手と手を取り合った。
命懸けのドラマチックな逃避行に酔う二人…。
身分違いの恋で許されないと知っていても、男;ナギサと女;アズサは惹かれ合った。
二人は自らの愛を貫き通す為に、その檻を蹴って抜け出した。
自由へ向かう為の船出、逃走の果てにたどり着いた岸辺にて
船頭に扮したキィヤナが指を鳴らすと黒衣の影が舟を取り囲んだ…。
「…帰りの船賃なら心配無く…既に十分過ぎる程頂いているからな。
…けれど、彼はここでお別れだ。
残念だったな…」
一度も眼を合わすこと無く、伯爵;カーゴはキィヤナに言った。
『娘さえ無事に戻れば良い。
使用人のほうは殺しても構わないからね』
そして軽々しく金貨の詰まった袋をキィヤナの前へと投げ捨てた…。
「……あ…」
燃えるように背中が熱い。
そこには、一本のナイフが突き立っていた。
朱く染まった手を見つめながら、キィヤナは緩やかに崩れ落ちていく…。
その背後には凄まじい形相でキィヤナを睨みつけるアズサが立っていた。
一歩後ずさり、キィヤナを嘲るように叫びながら闇の彼方へと走り去っていく…。
…徐々に薄れていく意識の中、必死に家に帰ろうともがく。
「…急がないと……もう、すぐ…もうすぐ、約束した…マクシィの……」
悪魔に魂を売り渡したかのように、金になる事なら何でもやった。
その男;キィヤナには手段などどうでも良く、金が必要だったのだ。
そして…その夜も天秤は仮面を躍らせる…。
…夜闇の中、二人は見つめ合う。
ロマンチックな月明かりの下、そっと唇を重ねて息を潜めた…。
慌ただしく通り過ぎる追っ手達をやり過ごして二人は手と手を取り合った。
命懸けのドラマチックな逃避行に酔う二人…。
身分違いの恋で許されないと知っていても、男;ナギサと女;アズサは惹かれ合った。
二人は自らの愛を貫き通す為に、その檻を蹴って抜け出した。
自由へ向かう為の船出、逃走の果てにたどり着いた岸辺にて
船頭に扮したキィヤナが指を鳴らすと黒衣の影が舟を取り囲んだ…。
「…帰りの船賃なら心配無く…既に十分過ぎる程頂いているからな。
…けれど、彼はここでお別れだ。
残念だったな…」
一度も眼を合わすこと無く、伯爵;カーゴはキィヤナに言った。
『娘さえ無事に戻れば良い。
使用人のほうは殺しても構わないからね』
そして軽々しく金貨の詰まった袋をキィヤナの前へと投げ捨てた…。
「……あ…」
燃えるように背中が熱い。
そこには、一本のナイフが突き立っていた。
朱く染まった手を見つめながら、キィヤナは緩やかに崩れ落ちていく…。
その背後には凄まじい形相でキィヤナを睨みつけるアズサが立っていた。
一歩後ずさり、キィヤナを嘲るように叫びながら闇の彼方へと走り去っていく…。
…徐々に薄れていく意識の中、必死に家に帰ろうともがく。
「…急がないと……もう、すぐ…もうすぐ、約束した…マクシィの……」
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