あまがらす
今日もまた、眠りにつけない夜が来た。
こんな夜には決まって、布団に潜り答えの見えない考え事をする。
今宵、たまたま頭に浮かんだのは
今は亡き妹のことだった。
彼女の名は、雨(アメ)と言う。
フルネームで言えば、蛇目(じゃのめ)アメ。
なんとも苗字とぴったりな名前だろうかと何度も思った。
恵みの雨
、
災いの烏
思えば自分とアメは、名前から性格、好みまで全て真逆であった。
唯一そっくりだったのは、漆黒の瞳。
よく両親に「二人の目は濁りの無い頑なな色だね」と言われたものだ。
それに、自分とアメは仲が良かったほうだと自覚している。
自分が実家を出るまではよく二人きりで出掛けたりもしたのだから。
会話のネタが多くない自分に対し、アメはいつでも楽しそうに色々なことを話してくれたものだ。
そんなアメとの再会が、まさかあんなものだとは誰が想像していたろうか。
不思議と悲しみは無かった。
苦しみも、後悔も、いつもなら感じるはずの喜びすらも無かった。
『ね!あまがらすって言うんだよ!わすれちゃメーだからね、お兄ちゃん』
懐かしい声が、また聞こえた気がして……
「…五月蝿いな…何、呻いてるの?眠れ無いんだけど。不眠症移す気か」
機嫌の悪そうなクローバーの声がぼそりと聞こえる。
厄介なヤツを起こしてしまった、と言わんばかりに烏は慌てて瞼を閉じ思考を中断させた。
こんな夜には決まって、布団に潜り答えの見えない考え事をする。
今宵、たまたま頭に浮かんだのは
今は亡き妹のことだった。
彼女の名は、雨(アメ)と言う。
フルネームで言えば、蛇目(じゃのめ)アメ。
なんとも苗字とぴったりな名前だろうかと何度も思った。
恵みの雨
、
災いの烏
思えば自分とアメは、名前から性格、好みまで全て真逆であった。
唯一そっくりだったのは、漆黒の瞳。
よく両親に「二人の目は濁りの無い頑なな色だね」と言われたものだ。
それに、自分とアメは仲が良かったほうだと自覚している。
自分が実家を出るまではよく二人きりで出掛けたりもしたのだから。
会話のネタが多くない自分に対し、アメはいつでも楽しそうに色々なことを話してくれたものだ。
そんなアメとの再会が、まさかあんなものだとは誰が想像していたろうか。
不思議と悲しみは無かった。
苦しみも、後悔も、いつもなら感じるはずの喜びすらも無かった。
『ね!あまがらすって言うんだよ!わすれちゃメーだからね、お兄ちゃん』
懐かしい声が、また聞こえた気がして……
「…五月蝿いな…何、呻いてるの?眠れ無いんだけど。不眠症移す気か」
機嫌の悪そうなクローバーの声がぼそりと聞こえる。
厄介なヤツを起こしてしまった、と言わんばかりに烏は慌てて瞼を閉じ思考を中断させた。
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