虹明かり

「なんで私だけを見てくれないんだろう？」

「君だって私だけを見ていないくせによく言うね」

「なんで私以外の人と楽しそうに笑うんだろう？」

「君だって私以外の人たちと笑っているくせに」

「なんで私の名前だけを呼んでくれないんだろう？」

「君だって私以外の人の名前を愛しそうに呼ぶじゃないか」

「なんで私のことを１番好きでいてくれないんだろう？」

「君だって私のことを１番に思ってないじゃないか」



『だって、これ以上傷付くのが怖いから』



全てに於いて、我が儘であり
全てに於いて、自己満足であり
全てに於いて、納得出来ない

そうしてまた息を殺して同時に感情を殺す
きつくきつく抱きしめて憂いの雨を降らせた
唇を痛いほど噛み締めてひたすら拒絶した

どうしても受け入れたくない物がある
いつか侵されてしまう前に、早く取り除かなければ



【書き手の存在しないアリア】