Drop
「なあ、ここが良いな…」
苦々しく微笑んでそうルクセヌが言う。
佇むは、真っ白な雪の積もった枯木の下。
目前に広がるは、薄く氷の張った大きな湖。
彼はそれらを愛しげに一瞥したのち、隣で静かに立つキィヤナの肩を抱いた。
キィヤナはただされるがままに抱きしめられ、俯いていた。
「俺、キィと一緒にいられるだけで良かったんだ」
「……」
「ずっと…一緒に、こうやって抱きしめていられるだけで」
「……ああ…そう、だな…」
ルクセヌの腕に力がこもる。
キィヤナが小さく肩を震わせて、顔を上げて見た先には。
「……見ろ、ルック…」
夕日が山に跳ね返り、赤と紫の綺麗なコントラストを作り上げていた。
その下に広がる湖もまた、夕日に照らされ鮮やかなグラデーションを彩っている。
ひどく綺麗で、それでいて悲しくもある景色に二人は息を飲んだ。
暫く無言でその景色を眺め、不意にルクセヌが口を開いた。
「なんで…ダメなんだろうな」
「……」
「俺、キィとの幸せが数えきれないくらいココロん中にあるんだぜ。その数は誰にも負けてない自信がある」
「……」
「………残酷だよな。世界ってさ」
「……。…ルック…」
「ん…?」
「…オレは…今も幸せだから…」
キィヤナの小さな声は、更に段々とすぼんでいく。
そしてその双眸から、透明な涙が雫れ落ちた。
「……っ…お前と…最期まで一緒に、居られて…オレは…本当に幸せなんだよ…!」
「キィ…」
止まらない嗚咽に体を小さく震わせるキィヤナを、ルクセヌは切なげに歪めた顔で見つめた。
「キィヤナの泣くトコ、初めて見たな。…なんか、嬉しいんだ」
「……馬鹿か…」
その宵は、ひとつの水音を除けばとても静かな夜だった。
@
いつかちゃんと書きたい小説の一部ー
世間や世界は「異端」に酷く厳しいものだ。
そんな世界は私にはどうでもいいものであり、しかし目を反らせないものであるのも事実。
いいじゃない、自由でさ(苦笑
苦々しく微笑んでそうルクセヌが言う。
佇むは、真っ白な雪の積もった枯木の下。
目前に広がるは、薄く氷の張った大きな湖。
彼はそれらを愛しげに一瞥したのち、隣で静かに立つキィヤナの肩を抱いた。
キィヤナはただされるがままに抱きしめられ、俯いていた。
「俺、キィと一緒にいられるだけで良かったんだ」
「……」
「ずっと…一緒に、こうやって抱きしめていられるだけで」
「……ああ…そう、だな…」
ルクセヌの腕に力がこもる。
キィヤナが小さく肩を震わせて、顔を上げて見た先には。
「……見ろ、ルック…」
夕日が山に跳ね返り、赤と紫の綺麗なコントラストを作り上げていた。
その下に広がる湖もまた、夕日に照らされ鮮やかなグラデーションを彩っている。
ひどく綺麗で、それでいて悲しくもある景色に二人は息を飲んだ。
暫く無言でその景色を眺め、不意にルクセヌが口を開いた。
「なんで…ダメなんだろうな」
「……」
「俺、キィとの幸せが数えきれないくらいココロん中にあるんだぜ。その数は誰にも負けてない自信がある」
「……」
「………残酷だよな。世界ってさ」
「……。…ルック…」
「ん…?」
「…オレは…今も幸せだから…」
キィヤナの小さな声は、更に段々とすぼんでいく。
そしてその双眸から、透明な涙が雫れ落ちた。
「……っ…お前と…最期まで一緒に、居られて…オレは…本当に幸せなんだよ…!」
「キィ…」
止まらない嗚咽に体を小さく震わせるキィヤナを、ルクセヌは切なげに歪めた顔で見つめた。
「キィヤナの泣くトコ、初めて見たな。…なんか、嬉しいんだ」
「……馬鹿か…」
その宵は、ひとつの水音を除けばとても静かな夜だった。
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いつかちゃんと書きたい小説の一部ー
世間や世界は「異端」に酷く厳しいものだ。
そんな世界は私にはどうでもいいものであり、しかし目を反らせないものであるのも事実。
いいじゃない、自由でさ(苦笑
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