虹明かり

「あー、の、さ、俺、ちょっと…旅行に…」
「…はっきり言ったらどうなんだ」
「……スイマセン…。社長のお誘いでさ、２泊３日の温泉旅行なんだってよ」
「…そうか。楽しんで来い」
「さんきゅ、キィ！マクシィ達にはダチと旅行〜っつーことにしといて！じゃ、行ってくる！」



そう言ってあいつが家を飛び出したまま夜が訪れた。
何か物足りないと胸がざわつく。

その日の夜は凪に断りを入れて、あいつの小屋のベッドに無断で横たわった。
布団を頭からすっぽりと被るとまた胸がざわつく。

「……ああ、」

寂しい、と言う気持ちなんだ、これは。



−手の届かない遠い場所に居る君に
会えなくて寂しいと感じる、そう感じることが
そう感じられる人が居ることこそが
幸せなんだと思う−



少しだけ双眸を細めたら、ふと嬉しいような悲しいような気持ちになって瞳を閉じた。
…ルックが帰ってきたら、一番におかえりと言ってやろう。
次は二人で一緒に旅行に行こう、とも言おう。