その後。(ルクキィ)
電話が、繋がった。
あの後自分の体を引きずって、這うようにして必死に駆け込んだ病院の白いベッドの上。
何度も何度もコールするは、あの人の病室の。
『……誰…』
少しの間聞いてなかっただけのキィの声が、とてつもない時間を経たように感じた。
一瞬、有り余る嬉しさに言葉を詰まらせる。
「あ…キィ、起きたか?!」
『……ルック…』
「ここ、病院で!キィ怪我が酷かったからよ…家じゃなくて病院に行ったほうがいいかと思って…」
『……お前は今何処だ?』
「俺も病室。キィの隣の部屋の。あ、俺は別にどってことねえよ、意識失う程でも無かっ」
言ってる途中で一方的に電話が切れた。
訝しげに受話器を眺めた後、適当に机の上に置く。
周りには看護師も医師もいない。
俺が上半身を持ち上げたその時、病室の扉がゆるゆると開いた。
立っていたのは、包帯を腹にこれでもかと言う程巻き付けているキィで。
その表情は微かに苦しそうで、俺は慌てて立ち上がろうとした。
「キィっ、何立ってんだよッ!重傷なんだっつの…うわっ!?」
「……っ!」
ベッドから立ち上がろうとして右腕に体重を乗せようとした瞬間、右腕に激痛が走り体がぐらりと傾いた。
幸い、床に倒れる前にキィが受け止めてくれたお陰で俺はどこも打たなかった。
「馬鹿か!!このっ……!」
初めてキィが怒りに任せて怒鳴るところを見た。
「お前は馬鹿かッ!!オレのことが好きなんだろう?!ならこんな真似してんじゃねえよ!!」
「…キ、キィ?」
「どっちの方が重傷か分かってんのか!!」
「え?」
キィが俺の右手首を掴む。
ずきん、と痛みが走る。
「……頼むから…オレを守ろうとかそんな馬鹿な事を考えるんじゃない…っ」
「……」
「オレは…」
ぎゅ、と胸倉を掴まれた。
キィは両手で俺の胸倉を掴んで、顔を埋める。
微かにキィの背中が揺れているのを見て、なんだかいたたまれない気分になった。
「キィ…泣いてんの…」
「…馬鹿か」
「えと、そのー…まあ、あれよ、悪かったって」
「……こんな体になってまで…なんで反撃しなかった…!」
「それはお互いだろ?」
「オレは関係無い!お前はしようと思えば出来ただろう!」
「…キィに嫌われたくねえもん」
「………本当に馬鹿だな……」
俺とキィヤナ、それぞれ負傷したけれど、そのかわりに自分達の大事なモンが守られた。
遠回しにだけど、ちゃんと前進できたんだと思うんだよな。
「ね、キィ、治療してもらったことだしさ、家帰ろうぜ」
「……」
「だから俺は大丈夫だって!むしろキィのが俺は心配」
「肋骨に皹が入ってるそうだ」
「…だいじょーぶ?」
「……帰るぞ」
そう言ってキィは俺の右手を握った。
右手が全く動かせなかったから握り返すことは出来なかったけど、体温を感じることは出来た。
***
早く最後まで書いちゃわないと…!
あの後自分の体を引きずって、這うようにして必死に駆け込んだ病院の白いベッドの上。
何度も何度もコールするは、あの人の病室の。
『……誰…』
少しの間聞いてなかっただけのキィの声が、とてつもない時間を経たように感じた。
一瞬、有り余る嬉しさに言葉を詰まらせる。
「あ…キィ、起きたか?!」
『……ルック…』
「ここ、病院で!キィ怪我が酷かったからよ…家じゃなくて病院に行ったほうがいいかと思って…」
『……お前は今何処だ?』
「俺も病室。キィの隣の部屋の。あ、俺は別にどってことねえよ、意識失う程でも無かっ」
言ってる途中で一方的に電話が切れた。
訝しげに受話器を眺めた後、適当に机の上に置く。
周りには看護師も医師もいない。
俺が上半身を持ち上げたその時、病室の扉がゆるゆると開いた。
立っていたのは、包帯を腹にこれでもかと言う程巻き付けているキィで。
その表情は微かに苦しそうで、俺は慌てて立ち上がろうとした。
「キィっ、何立ってんだよッ!重傷なんだっつの…うわっ!?」
「……っ!」
ベッドから立ち上がろうとして右腕に体重を乗せようとした瞬間、右腕に激痛が走り体がぐらりと傾いた。
幸い、床に倒れる前にキィが受け止めてくれたお陰で俺はどこも打たなかった。
「馬鹿か!!このっ……!」
初めてキィが怒りに任せて怒鳴るところを見た。
「お前は馬鹿かッ!!オレのことが好きなんだろう?!ならこんな真似してんじゃねえよ!!」
「…キ、キィ?」
「どっちの方が重傷か分かってんのか!!」
「え?」
キィが俺の右手首を掴む。
ずきん、と痛みが走る。
「……頼むから…オレを守ろうとかそんな馬鹿な事を考えるんじゃない…っ」
「……」
「オレは…」
ぎゅ、と胸倉を掴まれた。
キィは両手で俺の胸倉を掴んで、顔を埋める。
微かにキィの背中が揺れているのを見て、なんだかいたたまれない気分になった。
「キィ…泣いてんの…」
「…馬鹿か」
「えと、そのー…まあ、あれよ、悪かったって」
「……こんな体になってまで…なんで反撃しなかった…!」
「それはお互いだろ?」
「オレは関係無い!お前はしようと思えば出来ただろう!」
「…キィに嫌われたくねえもん」
「………本当に馬鹿だな……」
俺とキィヤナ、それぞれ負傷したけれど、そのかわりに自分達の大事なモンが守られた。
遠回しにだけど、ちゃんと前進できたんだと思うんだよな。
「ね、キィ、治療してもらったことだしさ、家帰ろうぜ」
「……」
「だから俺は大丈夫だって!むしろキィのが俺は心配」
「肋骨に皹が入ってるそうだ」
「…だいじょーぶ?」
「……帰るぞ」
そう言ってキィは俺の右手を握った。
右手が全く動かせなかったから握り返すことは出来なかったけど、体温を感じることは出来た。
***
早く最後まで書いちゃわないと…!
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